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まぼろし物語

「忘れられない感動」

3年間連続で皇室新年御用酒を献上

こうして、1948年(昭和23年)にリンゴ酵母を使い高温糖化酒母法で仕込んだ大吟醸酒は、その年に開催された全国鑑評会で1位を受賞するという驚くべき結果を残すことになります。
そして、翌年1949年から3年間連続して、皇室新年御用酒を献上するという栄を賜ります。
坂口先生が全国1位のお祝いで来訪時の写真
坂口先生が全国1位のお祝いで来訪時の写真

「あの感動は今も忘れられない」

醸造協会と醸造学会の会長を歴任した秋山裕一氏がそのときのことを回想している一節が、池田明子氏の著書「吟醸酒を創った男」(秋山裕一[監修])に出て来ます。

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1948年(昭和23年)、広島県竹原市で中尾醸造の中尾清磨が「高温糖化酒母」を開発し、かつて坂口謹一郎東京大学教授に師事し採取した「リンゴ酵母」を生かす吟醸酒をつくった。当時大学を卒業して間もない秋山裕一は、醸造試験所主催の全国新酒鑑評会の一般公開に参加し、はじめて利き酒をし、中尾が出品した「誠鏡」を利いた。

「あの感動は今も忘れられない。馥郁たる香りとまろやかな味は並ぶものなくずばぬけていた。それから3年間は、他の追随をゆるさず光彩を放ち続けた」と、秋山は回想する。
※吟醸酒を創った男(池田明子[著])より引用。
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まぼろし物語一覧

  • Story01:「幻」のリンゴ酵母、発見
  • Story02:7年をかけた醸造技法の開発
  • Story03:「忘れられない感動」
  • Story04:採算を度外視した市販酒
  • Story05:発売2年目に予約殺到